筋力の大きさは、そのときに置かれた状況や心理状態などで変わるといわれています。普段は最大筋力の100％が発揮できておらず、本来の力を最大限には出し切れていません。ここには脳が大きく関わっているとされており、平時には脳が筋肉を制御しています（脳のリミッター）。

 

本記事では、脳のリミッターと筋力の関係や、リミッターを外す方法について解説します。筋力を最大限に発揮したいという人は、参考にして、パフォーマンスに生かしてください。

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脳のリミッターとは

脳には、自動的に力を制限する機能があるといわれています。なぜなら、普段から100％の力を使ってしまうと、骨や筋肉が壊れてしまう恐れがあるからです。そこで、平時には100％の力が出せないように、脳がリミッターとして働いています。

脳のリミッターと筋力

人は、興奮したり極度の緊張状態になると、アドレナリンが分泌されます。アドレナリンは副腎髄質のほか、脳や自律神経の交感神経節でも作られています。アドレナリンが分泌されると、さまざまな生理的変化が起こり、筋力に影響を与えるのです。

 

アドレナリンの作用の一つは、筋肉の収縮です。これにより、筋力が向上し、瞬発的なエネルギーを出せるようになります。さらに、アドレナリンは心臓の動きを促進し、心拍数と血圧を上昇させる作用もあります。心臓の動きが促進されると、酸素や栄養分が効率的に全身へと供給され、筋力の働きが向上します。このような作用によって、普段使えていない力が最大限に引き出されるのです。

 

一方で、アドレナリンが分泌され続けるのは危険な面があります。過剰に分泌すると、神経が興奮して血圧が上昇し続けます。このことによって引き起こされるのが、めまいや胸痛、動悸です。さらに放置しておくと糖尿病や不整脈などの合併症につながってしまいます。このような危険を避けるためにも、平時には脳がリミッターの役割となってアドレナリンの分泌を制限しているのです。

リミッターを外す方法

リミッターが外されるのは、興奮したり極度の緊張状態になるなどの特殊な場合です。しかし、自分でもある程度のコントロールが可能とされています。ここでは、リミッターを外す方法として、3つの方法を紹介します。

 

• 大声を出す
• 歯を食いしばる
• 力を出せると思い込む

 

最大限の力を出したいというときに、試してみてください。

大声を出す

自分の力を最大限まで近付ける方法の一つが、大声で叫ぶことです。重量挙げやハンマー投げの選手が、パフォーマンスの前に大声を出すことがあります。大声で叫ぶことによって、脳の興奮が高まり、普段以上の力を出すことができると考えられています。とはいえ、大声で叫ぶだけで100％の力が出せるわけではありません。リミッターを外すには、ほかの方法を併用することが必要です。

歯を食いしばる

力を引き出すためには、歯を食いしばる方法も有効と考えられています。最近では、歯を食いしばるために、マウスピースを使用するスポーツ選手が増えています。マウスピースは、口の中に入れる装具で歯や口周りの怪我を防止する役割を担っていますが、それだけではありません。

 

マウスピースには、正しい噛み合わせになるように調整する機能があります。食いしばるときには正しい噛み合わせであることが重要なことから、嚙み合わせはスポーツ選手のパフォーマンスに影響します。マウスピースがあることによって、正しい嚙み合わせで食いしばり、力を発揮することができるのです。

力を出せると思い込む

脳のリミッターを外すには、力を出せると思い込むことも大切です。自分に暗示をかけるように不安をかき消し、ポジティブなイメージをもつといいでしょう。

リミッターを外して筋力を発揮する

自分の力を最大限に引き出すためには、脳のリミッターを外す必要があります。脳から分泌されるアドレナリンの作用が、普段使われている筋力以上の力を引き出してくれます。脳のリミッターを外す方法についても紹介したので、最大限のパフォーマンスをしたいという際には参考にしてみてください。